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コーヒーが目の前で湯気を立てている。
今すぐ飲んでくれと目の前にあるのに亜蓮は私に意地悪をしている。
「 社長、コーヒー冷めちゃいます 」
「 だったら、早く 」
「 何をですか 」
……嫌な予感するんだけど?
「 ん 」
やっ、やっぱり……
目を閉じる亜蓮にカクッとなった。
嫌な予感は的中するもの。
まさにその光景、キスの催促だ。
甘い甘い、キスをして欲しいのか……
ここでタメ息つくのは失礼とはわかってる。
「 莉唯、俺にキスしたらコーヒーあげる 」
くっ…そぅ……
社長がイケメンじゃなくてブサイクならコーヒーぶっかけてやるのに!
この無邪気なキスの要求を受けないと後々何かしら天罰が下りそうな気もする……
思いきり気合いを入れたつもりで生ツバ飲み、亜蓮の唇に触れるキスをした。
チュッ… とそれだけ。
ただそれだけなのに時間が止まったように感じた。
「 莉唯、コーヒー持って 」
「 え、あ… え?」
2つのコーヒーを渡された私は戸惑うが、亜蓮はお構いなしに私の顔を両手に包むとキスをする。
そのキスは私の軽いキスとは違う…
コーヒーを溢さないよう、落とさないようにマグカップの取っ手を握りしめた。
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