長條さん

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* * * * 「スリーメンするよ!」 部員一同の返事が体育館に響き渡った。 汗と熱気が彩る体育館に張られたネットに背を向けた宏美がボール籠に入っていた黄色と青が描かれたボールを手にする。 宏美を中心とした半径として囲むようにに岬と凜と1年の山口(やまぐち)百合(ゆり)の3人が散った。 「いくよ!」という宏美の掛け声のと共に宏美の手にあったボールを宙に投げて立ったまま岬に向かって打った。 「はい!」 岬はそのボールをアンダーレシーブで捕らえる。 手首に鋭い痛みが走って、ボールは勢いを殺されて上にあがった。 「はい」 凜が声を出してボールの落下地点に走った。 岬がレシーブしたボールは凜の近くではなく、やや離れてしまったので彼女は急ぐ。 凜は綺麗なフォームで宏美にトスをした。 ボールは寸分違わず宏美の真上に返された。 「ナイストス!」 宏美は再び腕を振り下ろした。 回転のかかったアタックを打った。 「はい!」 百合が声を出し、アンダーで拾おうとする。 しかし威力のあるボールは百合の腕を弾き、後ろに飛んでいく。 「もう1本!」 ミスをしてもへこたれずに百合は言った。 「ドンマイ」と岬は声をかける。 凜はじっと見つめているだけだ、その視線を受けた百合は少しだけ萎縮した。 その後百合は2回失敗して、3回目でようやく上にあげることに成功した。 上がったボールを岬が少し宏美の位置からずれながらもトスをした。 「…ふん」 周りの人間が体育館に散らばったボールを拾っているのに対して春は腰に手を当て悠々と立っていた。 凜を睨みつけながら鼻を鳴らす。 「気に入らない…」 誰にも聞こえないように呟いた後、レシーブを失敗して後ろに弾かれた百合のボールが春の顔面に直撃した。
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