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「ふーん」
「なに?」
「別に、私帰るわ」
いつもなら最後まで部室に残る春がさっさと制服に着替えて、かんなとくるみを連れて出て行った。
「もう、月島さんったら…ごめんね長條さん」
「…坂田さんが謝る事ない」
「え?私の名前知ってたの?」
嬉しそうに凜に迫る姿に、彼女は困惑していた。
そして宏美とは裏腹に岬は頭を抱えていた、春にたてついてしまったからだ。
また面倒が起こるかもしれない。
「はあ…」
「どうしたの岬?」
「いや、もう帰るよ」
「私は帰る前に先生に用事があるから」
「わかった、じゃあお疲れさま」
そう言って岬は部室を出た。
そしてすぐに凜も部室のドアを開けて出てくる。
「一緒に帰る?」
「うん」
岬と凜は並んで歩いた。
こうやって帰るのも何度目だろうか。
「気にしないで、月島さんいつもあんなだから」
「…うん」
少し俯きがちになった凜はどうみても落ち込んでいた。
岬は笑顔で凜の肩を優しく叩いた。
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