彼女たちの夏

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「長條さんは?」 「…どうして?」 「また先頭なのかと思って」 「たぶん正解だよ」 「そう、やっぱり速いね」 岬は話すことが辛くなっていた。 肺は痛み、脳には酸素が正常に回っていないようである。 「…先行けば?月島さん余裕そうだし…」 春は数秒岬は見つめた後、「そうね」と言ってペースを上げた。 春が見えなくなった後、また後ろから1人岬の横を通りすぎ走っていった。 春の腰ぎんちゃくのかんなだ、春とは違い岬をチラリとも見ずに走り去っていく。 「はぁ…はぁ…きつ」 しばらく岬は同じペースで走っていたが、どんどんと速度が落ちていく。 太ももとふくらはぎに痛みが走り、息が荒くなっていく。 「し、しんぐうさ…」 声が聞こえたので岬は後ろを振り返った。 岬以上にフラフラと走る、ぽっちゃり気味のくるみがいた。 岬はさらにペースを落とし、くるみと並ぶ。
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