されど少女らは焦がる

彼女たちの夏

「筋トレ…はぁ…きついよね」

「そだね…ランニングの後は階段だよ」

「はぁ～…きびし…はぁはぁ」

「ふぅふぅ…月島さんってけっこうこういうのちゃんとやるよね？」

「春ちゃんは…適度に体動かすとダイエットにいいって言ってた…はぁはぁ」

「ああ…そうなのね…はぁはぁ」

「夏だから…もっと絞るって…はぁはぁ」

「そう…はぁ…いいことだね」

「うん…はぁ…なんで私痩せないんだろう…動いてるのに」

「…体質？」

「かも…あんまり食べてないのになぁ」

「あのさ…はぁはぁ…喋るのやめない？」

「…うん…そうしよっか…はぁ」

「うん…はぁ」

「神宮さん…はぁはぁ」

「なに…？はぁ」

「…はぁはぁ…歩かない？」

「…宏美に怒られるからダメ…はぁはぁ」

岬とくるみは諦めたように走った。
コンクリートの道路を走っている間、２人は学校に戻るまで口を聞かなかった。