彼女たちの夏

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「うん、でも神宮さんが悪いんじゃない、教えてた人が悪い」 岬は中学の頃に教わっていた教師のことを思い出した。 今思い出しても適当な人間だった、偉そうに指導していたが今思うと本当にバレー経験者だったのかも怪しい男だ。 「…どんなところが悪いかな?」 「まず腰が高い」 凜はツカツカと岬に歩みよってきた。 そしていきなり岬の腰に手を回し、下に下げる。 「ちょ、ちょっと」 「背が高いからレシーブがやりにくいのは分かってる、でも出来ないわけじゃないでしょ?」 凜は岬のささやかな抵抗を無視して腰を下げ続けた。 「き…きつい」 「べた足になってる、腰下げても踵浮かせて」 「だって…きつい…」 「すぐ慣れる、腰が低いほどレシーブは有利だから頑張って」 「うう…もういい?」 岬が懇願するように訴えかけると凜は仕方ないといった感じで頷いた。
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