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「お疲れさま」
着替え終わった凜はスタスタと部室のドアに手をかける。
「ちょっと!話は終わってないよ!あんた強豪校のエースだったからって調子乗ってんでしょ!?」
かんなが吠える。
凛は応えない、いつも通り1人で部室を出ようとする。
「長條さん」
春の落ち着いた言葉に凜は止まった。
背中を向けたまま話を聞く。
春は嫌らしい笑みを浮かべた。
「清涼剤忘れたの?体に塗ってなかったみたいだけど、あなた臭ってるよ、強豪校じゃ練習に夢中で体臭なんて気にしないのかもしれないけど、気を付けてね」
凜は無言で部室を去った。
春はクスリと笑った、嫌な女である。
「ちょっと月島さん!ひどいわよ!」
「事実を言っただけよ、坂田さんあの子の臭い知らないの?」
口元に冷笑を浮かべて春は岬に向きなおした。
宏美は言い返せずに悔しそうだ。
宏美の姿を春は瞥見した後、自然な流れで岬を見つめる。
「…なに?」
「別に、ただ長條さんと仲がいいのかなって思ってね」
「そういうわけじゃないよ」
「さっきもかばってたみたいだし、私悪いこと言ったわね、ごめんなさい」
「だから違うよ」
「そうなの?確か同じクラスだったわよね」
人を試すような憎たらしい顔をしている春に、岬は何も言えなかった。
余計な波風を立てたくないのだ、それに凜が来るまでは春もこんなにもまで人に絡むようなことはしなかったのに。
本当な厄介な転入生である、長條凛という女は。
岬はパンツの上にスカートを履いてカバンを持った。
「お疲れ様です」
春のほうは向かずに、岬はドアに手をかけた。
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