プロローグ

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プロローグ

お腹が減った…めまいがする。視界もぼやけよく見えない。餌を探しにいこうにも足が前へと進まない。 ___そうか、死ぬのか。 僕は捨て猫だ。捨て猫になったのは…確か1週間とちょっと前くらいだった。 理由なんて分からなかった。ただ無愛想に段ボールに詰められ、人気のないとろろへ突然捨てられてしまった。 もう、元飼い主の顔も名前も忘れてしまった。飼い主が名付けてくれた名前も、忘れてしまった。 …体が冷たい。 気付いたら僕は、冷たいアスファルトの上に倒れていた。 こんな僕にもう希望なんてなくて…ただ、目の前にある死を待つだけだった。 どうせ死ぬなら…こんな苦しまずに、楽に死ねれば幸せなのに。…いや、もしも偶然今、僕を助けてくれる人がいれば…。 そんな希望を抱きながら、僕は目を閉じた。 僕の体から体温が抜けていくのが分かった。 …さよなら、僕の人生。 「……ね……い」 死ぬ直前、そんな言葉を聞いた気がした。
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