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思い切って、飲むと、なぜか孤独が少しでも消え去った気がする。さらに飲み続けて、飲み切ると、孤独感がすっかりと攫われたように、一切感じなくなった。
その液体はもしかすると、みんなの笑顔を分け合ってくれて、集められたものなのではないか。これまでの楽しいことばかり、頭の中に満ちて、止まらない。僕も久し振りに笑顔となった。やっと、あの人たちのように、楽しく感じて笑えるようになった。
だが、何分後、すべてが戻った。通り過ぎる人々には、仲間がいるが、僕にはいない。今もいない、かつてにおいてもいなかった。この日本においても、僕を相手にしてくれる人は恐らく、従来からはすでにいないのだ。
落ち込んで帰ろうとすると、走ってきた子どもたちがバカ騒ぎをする。
「ほら〜、追ってみろ〜、俺、足が速いぞ。」
「逃げるな〜」
戯れる子どもたちがすっと、僕を通り越して、通路する人を通り越して、街で走っていく、ついに人並みに姿を消してしまった。
「ほら、転けてしまうよ。」
「ったく、どこへ行ったかよ。」
大人の男女の二人は、追いかけようとしている。
「すいません、通ります。すいません。」
それを見ると、頭の奥に閉じ込んだ何かの記憶が蘇ってくる。
そうだ。
かつて、僕も子どもの頃、日本の神輿のようなところで、逸れないようにと親からの忠告も聞けず、相棒たちとバカ騒ぎをして、大笑いして、あっちこっちと走り回っていた。
子どもたちに諭されて、色々なシーンが思い出せて、笑顔を添えてくる。
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