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それ以上に驚いたのは、ヴァフィラがニコルスに向けたその笑顔だった。
「先生、御用はもう終わられたのですか?」
バラのつぼみがほころぶような、その笑顔。
先程までの痛いくらいの警戒心はどこへやら、その笑顔や物腰にはニコルスを絶対的に信頼している柔らかな心が表れていた。
去ってゆく二人。
その背中を見送りながら、ルドーニの心臓はまだばくばくと速く打っていた。
また、会いたいな。
そのうち、自分に対してもあんな柔らかな笑顔を向けてくれるようになるだろうか。
二人の姿はすでに視界から消えていた。
だが、芳しい香りはまだルドーニを包んでいた。
その香りが消えてしまうまで、ルドーニはその場から動くことができなかった。
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