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沼のまわりの草が枯れてしまったので、沼には太陽の光がギラギラと降り注ぎ、日陰になる場所もありません。
ガマじいさんは、おなかの下にオタマジャクシを集めています。
「あー涼しい、ガマじいさんのおなかの下は気持ちがいいなあ。」
ガマじいさんは、おなかの下にはえたコケをオタマジャクシの兄弟に食べさせています。
「あーおいしい、ガマじいさんのおなかのコケはおいしいなあ。」
オタマジャクシたちは、大きくてやさしいガマじいさんのおなかの下で、すくすくと大きく育っています。
ところが、ガマじいさんの背中は暑い太陽の光と熱で、ガサガサにひび割れてきました。ガマじいさんは、エサになる虫がいないので、もう何日も何も食べていません。
やがて足がはえたオタマジャクシの兄弟たちは、ガマじいさんに言いました。
「ガマじいさん、ぼくたちは、足がはえたので、おかあさんが待っている大きな沼に引っ越します。今まで、本当にありがとうございました。」
ガマじいさんは返事をしませんでした。ガマじいさんは静かに目を閉じて、オタマジャクシを守るかっこうをしたまま、固いりっぱな岩になっていました。
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