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「その、依頼主というのは…?」
雪女はにっこりと笑った。
――然る女性です。数日前の件…とだけお答え致しましょう
僕は唾を呑んだ。確かに数日前、友人と飲んでいる時に、つきあっている彼女の悪口をたっぷりと言った。
それが彼女の耳に入り、仕返しとしてこの雪女が呼ばれたのだとしたら、どんな目に遭わされるかわかったものではない。
雪女の冷たい瞳に残忍な光りが宿っていく。どうする。どうすればいい。
そうだ。
「僕と、お付き合いしないかい? こう見えて…収入はあるんだ」
僕は意外にも女性にモテる。今まで何人もの女性を口説いては衣服のように乗り換えてきた。
彼女も頷いた。よし、この表情なら落とせた。僕はぐっと右手を握り締めた。
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