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第三章 兄の帰省
母親から兄の帰省予定を聞かされたのは、
7月の中旬だった。
一週間盆休みをくれる美容室なんてすごいわね、と
電話で話している声が聞こえる。
「え?恋人?」
急に母さんの声のトーンが上がった。嬉しそうだ。
「是非泊まりにおいでって伝えてちょうだい。
なんて名前?桜井遥さん、綺麗な名前ねえ。」
サクライハルカ、きっとその女が兄ちゃんの彼女なのだろう。
望さんを傷つけた相手だと思うと
ふつふつと憎しみがわいてくる。
“絶対俺は、兄ちゃんの彼女なんか認めないからな。”
カイトは決意を固めていた。
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