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そんな子どもたちが泣いたり笑ったり、元気に通っていた学校は、昭和三十七年に閉校した。やがて旭部落の住人は、みんなどこかへ引っ越し、建物は壊されてなくなり、大きな木は切り倒された。わしも根元から切り倒されて、土の下の根っこだけが残ったんじゃ。
それから数年後、ダムは完成。山から流れてくる谷川の水がせき止められ、どんどん水がたまり、大きな湖ができた。
今、わしの周りの土は流され、わしは湖の底で大きな根っこを手のひらのように広げている。ワカサギなどの魚たちが、わしの根っこをすみかにしている。ダムが出来て水害がなくなり、平和に暮らす置戸の人々が冬には湖にワカサギ釣りに来る。
※写真は友人が描いてくれた湖の底のカラマツじいさんのイラスト
今の置戸の子どもたちは、湖になっている場所に、昔は小学校があり、自分たちと同じような子どもたちが元気にたくましく生きていたことを知らないんじゃないかな。
たまに、湖に遊びに来た時だけでいいから、昔のこと、湖の底に沈んでいるカラマツじいさんのことを思い出してくれると嬉しいものじゃ。
完
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