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全力でメドレーを熱唱し終えたところにちょうど店員さんがやって来て、フルーチェ(イチゴ味)を手際よくテーブルに並べた。
こんなの誰か、頼んだっけ?
...っていうか、そもそもメニューになくない?
無言のまま、視線で会話する僕ら。
彼女の名札をチラリと盗み見るとそこには、『カントリーモーム』さんと書かれていた。
ニックネームなんだろうか...、可愛らしいゴリラのイラストも添えられていて、謎が謎を呼ぶ。
すると店員さんはにっこりと微笑み、言った。
「今日は、お誕生日パーティーなんですよね。
おめでとうございます。
こちらは当店からの、サービスです。」
この人、いい人だっ!!
「ありがとうございます。
好物なんです。」
牧田くんが、満開笑顔で答えた。
僕達は口々にお礼の言葉を述べた。
すると彼女はまたにっこりと穏やかに微笑み、ペコリと綺麗なお辞儀をして、退室していった。
「そうだ!
臣くん、もうお酒飲めるんだよね?
飲んでみた?
酔うと、どんな感じになるの?」
好奇心から、聞いた。
「あー、そうですね。
あんま、変わらないかも。」
...そうなのか。いいなぁ、臣くん。
...ちょっぴり、羨ましい。
そして宴の盛り上がりが最高潮に達したところで、牧田さんが心底申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にした。
「皆、ごめん...。」
何事かと思い、彼の方を振りかえった。
全員の視線が、牧田さんに集まる。
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