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僕はアルコールがあまり強くないため、つい最近も大失態を犯し、猛反省したばかりだというのに。
...またしても、やってしまった。
一体どうやってここまで、帰ってきたんだろう。
確実に皆に迷惑をかけてるよな、コレ。
申し訳無さすぎる...。
窓からは明るい太陽の光が差していて、あまりの眩しさに、今はもう朝なのだと知った。
のそりと起き上がろうとしたら、体が思うように動かない。
まさかこれ、筋肉痛っ!?
...どんだけ全力で演奏したんだよ、昨日の僕。
心底げんなりしていたら、スマホのグループにメッセージが届いた。
蛇塚くんからだ。
『昨日の写真、よく撮れていたのを何枚か送っておくね!』
僕よりもずっと年下なはずなのに、そのマメさに頭が下がる。
...ホスト役を丸投げして、更にはご迷惑をお掛けしてごめんなさい。
心の中で謝罪の言葉を述べながら、画面をスクロールさせ、下げていく。
画面には楽しそうに歌う僕と臣くんの写真だとか、全力でタンバリンを叩く牧田さんの写真などが写し出され、自然と頬の筋肉が揺るんだ。
そして現れた、動画。
何だろうと不思議に思いながらも、再生のボタンを押した。
そこには顔色ひとつ変える事なく、真顔で淡々と、戦隊ヒーローの歴史を語る臣くんの姿。
そして時折ぷくくと笑う、蛇塚くんの声も入っている。
そうか...、そういう事か。
僕は先に酔っぱらってしまっていたから、気付かなかっただけで。
...そう。
臣くんはただ顔に出にくいというだけで実は、酒に酔っていたのだ。
でなければこのネタがわかる人間以外に延々とこんな話、あの臣くんはしないはずだから。
「...アルコール、恐ろしいな。」
更に画面を、下へ下へと下げていき、ブフォッと思いっきり、噴き出した。
「はは...、ホントにいたんだな。
これを、つけたがるヤツ。」
渇いた笑いが、口から溢れた。
【おちまい。】
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