恋の魔法

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嫌いだったはずだ。 満員電車、スクランブル交差点の雑踏、お祭りの人ごみ。 鉛の時間だった。 人に押し潰されて、息苦しかった。 私はここに居るんです、誰か気づいてくれませんか。 そんなことはどうでもよく、私を置いてけぼりにして世界は動く。時間は進む。 でも変わった。 君を好きになって。 満員電車で君を見つける。一瞬で。 スクランブル交差点で向こう側にいる君を待つ。そこだけ道が空いているみたい。 お祭りで手をつなぐ。人がいて良かった。 世界が回る。私達を真ん中にして。
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