ラブソングが歌えない

9/9
前へ
/9ページ
次へ
「ハルトくん、シュンくん、この前の『一日恋人デート』どうだった?」  下島さんがさぞ愉快そうに揶揄する。 「それがもうめっちゃ楽しかったよな! カラオケ行って、レインボートースト食べて、プリクラも撮った!」  それはよかったですね、と下島さんが嬉しそうだ。だがハルトの次の一言で彼は困惑することとなる。 「でね! 恋人同士、延長中なんだよ」 「……えっ?」 「シュンってホントイケメンで、ちょっと意地悪だけど気が利いて、もう最高。いやーオレもプレボでよかったよ」 「え?」  シュンがとどめの言葉を発する。 「ハルトもこれで童貞卒業だな」  下島さんの絶叫が楽屋に響く。  ハルトは少しばかり誇らしく宣言した。 「これでラブソング、歌えるぞ!」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加