ラブソングが歌えない

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「うおー! 竹下通り! オレはじめて!」  そんなことはないだろ、とシュンに笑われた。でもプライベートで来ることは本当に初めてだった。  インスタ映えすると話題のチーズトーストとタピオカミルクティを買い、ウォールペイントが施されたシャッターの前で二人で食べた。伸びる虹色のチーズのポップさにハルトははしゃぎ、シュンは満足そうに写真に収めた。カップの底に残ったタピオカを勢いよく吸って飛び出たところが喉にぶつかり咽せた。 「ハルト飲むのへたくそかよ」 「だって、はじめてだもん」 「お前のハジメテいただき」  ハルトは頬が熱くなるのを感じた。さすがトップアイドルの口説き文句だ。顔もいいし。 「そういうのはハニーにだけ言ってろ」 「はいはい、ダーリン」 「うるさい」  すっかりシュンのペースだ。うまく話せないし、彼の些細な言動に一喜一憂する。 「これが、デートなのかな」 「デートだよ」  デートかあ、とハルトは嬉しくなった。 「もっとデートっぽいことしようか」
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