きみと生きる

1/1
前へ
/10ページ
次へ

きみと生きる

「おーい。大ばぁば!変りはないかい?」 がらがらと引き戸を開いて、男子学生が顔を覗かした。 大ばぁばはにこにこと笑いながら、 起こしたリクライニングのベッドに座ったまま手を振った。 毎日来てくれるリハビリの療法士の女性が 微笑んで少年に頭を下げた。 「うん。元気そうだね! みてくれよー。僕高校生になったんだ!」 「かっこいい制服だねぇ。よく似合うねぇ。」 少年は嬉しそうに頭をかいた。 「これから学校なんだ!大ばぁばに見せたくて来たんだ!」 大ばぁばは満面の笑顔でまた手を振った。 「男前だねぇ。じぃじにそっくりだよ。いってらっしゃい!気をつけてね!」 「いってきまーす!」 少年は大きく手を振ると、朝日の中走り去った。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加