もう一度きみと

1/1
前へ
/10ページ
次へ

もう一度きみと

「あらよく寝ているわ。さすがおかあさんね。」 「可愛らしいわねぇ。まさか曾孫の顔をこうしてみられるなんてねぇ。」 大ばぁばが赤ん坊のくるくるした巻き毛をそっと撫でながら、 小声でこたえた。 「おとうさんにも見せて上げたかったわね。」 「ほんとね。でも私もついにばぁばになったのよ。いやねぇ。」 大ばぁばがくすくすと笑った。 「私から見れば、あなたなんてぴちぴちよ。若いおばあちゃんだこと。」 笑い声につられたのか、横にいた赤ん坊がぱっちりと目を開いた。 そして手を伸ばして、大ばぁばの腕にしがみつくと 「おーばぁば」と言った。 女性二人は顔を見合わせた。 「今、喋った?」 「えーーっ!ママやまんまよりも先に大ばぁばなの?」 ふたりのおばあちゃんは笑い転げた。 そして何度も、もう一度言ってごらん?と繰り返した。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加