第22話 訪問客✔︎

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第22話 訪問客✔︎

 翌日昼、母屋で昼食を食べた後、小休憩の為に部屋に向かう途中、所長に呼び止められた。 「あー、おったおった。誠、悪いけどこれからちょっと大事な客が来るんや。ワシはその人と今夜飲みに行くから、今日の"夜勤"今からでもかまへんか? すぐ近所まで犬の送迎行って来るさかい、もし客が来たら適当に相手して待っててくれ」 「…シャワー浴びてきます」 「ゆっくり準備して待っててや」  バタバタと走り去る所長の後ろ姿を見送り、すれ違った林さんに所長の長話に付き合う旨を伝えて部屋に戻った。  所長が戻るまで少し時間があるので、犬に飛び付かれて汚れたシャツを着替え、母屋の浴室へ行き準備をする。  心配していた出血は治ったようで、本体の僕の憂鬱とは相対して今日のお尻はご機嫌だ。とはいえ無理はしたくないので、しっかりローションを仕込んで、所長室に向かった。  所長室の前まで行くと、スーツを着た、所長と同年代くらいの男性がソファに座っていた。所長が言っていた大事な客だろうか? 「失礼します」  声をかけて入室すると、彼は立ち上がって挨拶をしてくれた。甲斐谷より少し高いくらいの身長約185cmってところか、体重は90kgほどありそうだ。 「やぁ、税理士の守屋です。ひょっとして、君が誠君?」 「…はい」  何故僕の名前を知っているのだろう。  税理士ということは、ここの経営に関わる人か。林さんや柏木先輩とは顔見知りで、新入社員が僕と甲斐谷の2人だという事も知っているのかな? 「なるほどね。長政から話は聞いているよ。ここに座ってくれるかな」  有無を言わせない雰囲気で彼の横に座らされた。ここに来て初めて標準語を聞いた気がする。何やら上品で重厚なオーラを放つ人物だが、僕を視姦するような目で見、薄ら笑いが気持ち悪い。  所長はまだかと、壁の時計を見やる。 「長政…あぁ、君の所長はね、いつもちょっと時間遅れ。奴が13時と言ったら…そうだな、13時10分てところか。対して私は30分前行動。常に忘れ物を取りに帰れる時間を確保しておきたいタイプでね」  にっこりと微笑んで、僕の太ももに手を置いた。その意味が分からないほど、バカじゃないのが辛い。 「長政から君の話をよく聞かされているよ」  サワサワと足を触る大きな手が、膝を割り、ゆっくりと股間に近付いて来る。  所長は[適当に相手をして待っていろ]と言っていたが…そういう意味の"相手"なのだろうか。  答えを出しあぐねていると、彼の手が僕の股間に到達した。が、スレスレのところを撫でるばかりで、接触はして来ない。そしてそれが返って非常にもどかしかった。 「あの…止めて…ください…」  熱っぽい声を出してしまい後悔する。止めてくれと口では言いながら、身体は僕の意思に反してしっかり反応してしまっていた。 「ここ、こんなになってるけど…止めちゃっていいの?」  手の甲を押し当て、円を書くようにマッサージしてくる。息が上がり始め、ズボンが湿っているのを見て、守屋は僕のズボンに手をかけた。 「…や…やめ……」 「濡れちゃうと気持ち悪いから、脱いじゃおうか」  そこからはなし崩しで。ペニスを扱かれている間にズボンも下着も脱がされ、シャツのボタンも全て外されてしまった。 「はぁっ…はぁっ…だ…めです……」  守屋は、まだ消えない甲斐谷のマーキングをなぞると、嬉々として聞いてきた。 「誠君、この訓練所に想い人が居るんだって? コレ、その彼が付けたマーキングかい? 長政はこんな事絶対やらないからね。凄いね、彼氏の君への執着が一目瞭然だ。ふふふ」 「あっ……もり…や…さん……」 「ちょっと膝で立ってここを持ってごらん」  彼に促されるままソファの背に抱きつき、足を拡げる。  尻にローションを仕込んである事に気付くと、ケタケタと笑ってポケットからコンドームを2つ取り出した。それを素早く片手で自分と僕に着けると、後ろから僕に覆いかぶさった。 「私が相手をしてあげよう」  熱い肉塊を押し当てると、僕の腰を引き寄せて、ヌルリと簡単に入ってきた。 「ふぁ…ん……」  思わず声が上擦る。何だこれ…所長とも、甲斐谷とも違う…前立腺だけが擦られる感じ。 fba58876-238e-4224-840a-95109fa0d4fc 「形の違いが分かるかね? 私のは太くも長くもないが、よく"当たる"んだよ。誠君、噂通り反応が良くて可愛いね」  そう言うと、守屋は小さくピストン運動を始めた。それが全て前立腺にヒット。すぐに膝立ちしていられないほどガクガクになり、猫のように鳴き叫んだ。 「あんっ、あんっ、あんっ、やぁっ…あんっ!」  ビクンと跳ね、白濁を放つ。ゼェゼェと必死に息をしていると、守屋は再び僕を揺らし始めた。 「まっ…待って…イッたばっか……あっあっあっあっんんーっ!」 「ははは、誠君はメスイキが上手だねぇ」  止まない追い立てに逃げようともがくも、体格差でガッチリとホールドされて逃げられない。  何度かイかされ、もう一度イかされれば酸欠で意識が飛ぶ…という時、所長室の前を虎鉄を連れた甲斐谷が通った。  守屋の相手をする僕を見て顔が歪んでいく。そして何かを喚きながら何処かに走って行った。 「なるほどね、あれが誠君の彼氏か。助けに来ないとは、実に興味深い」  頭の後ろで守屋の嬉しそうな声がした。  しかし、何を言ってるのか意味が分からないまま、僕は身体を震わせて気を失った。
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