第8話 所長室

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第8話 所長室

 あれから3日が経った。毎日、いつ呼び出されるかとビクビクしているが、今日も所長の呼び出しは無かった。  今朝の訓練もいつも通り、特に何事も無く終了。午後に例の山中にある草原に、所長を含む5人と犬を3頭を連れて行ったが、普通に先輩達の追及訓練に参加して帰って来た。  1日の業務が終わり、母屋で夕食も食べ、今日はもう呼び出される事は無いだろうと…部屋で布団に転がってぼーっとTVを見ていると、ドアをノックして風呂上がりの甲斐谷が顔を覗かせた。 「誠、所長が、今日の追及訓練のことで話があるって。母屋でシャワー浴びたら所長室に寄ってくれってよ」  所長のほくそ笑む顔が見えた気がした。甲斐谷は何も知らない。そんな何も知らない彼に「腸内洗浄をしてから来い」というニュアンスの伝言を頼むなんて、あのオッサン頭がイカれてるのか。  ゆっくりと怒りが湧いてくる。甲斐谷は無関係だ。僕をからかう為に巻き込むなんてどうかしてる。 「分かった。すぐ行くよ」  部屋に戻る甲斐谷を見送り、TVを消してタオルと下着を持って風呂へ向かった。  僕の風呂順が最後で良かった。いつもなら15分であがるところ、余計な作業が増えたせいで30分もかかってしまった。しっかりほぐしてキレイにしたから、さっさと所長を食って寝よう。  まだ4月の夜は肌寒い。山近い立地だから余計かもしれないが、下着以外は部屋で着替えようと、そのまま訓練服で来て良かった。  母屋から所長室へ向かう途中でジャケットの前を閉め、所長室の前まで行くとガラス戸から事務机でパソコンを眺めている所長が見えた。  すぐに僕に気付いて手招きをする。吊り戸を開けるとスルスルと音も無くスライドし、所長がやけに明るい声で出迎えた。ドアに鍵を閉めた方がいいかと確認したが、鍵は外からしかかけられない造りになっている。 「おー、誠、待ってたで。はよ、こっちにおいで。鍵なんかかけんでも、こんな時間に誰もけえへんから」  母屋の横にコンテナで作られた所長室は、業者やお客さんと話をする為の応接室だ。約16畳の部屋に事務机と、その正面に黒い革張りのソファーセットが置かれている。  壁には所狭しと犬の競技で獲った1席のリボンやガウンや写真が並び、棚には大小のトロフィーが並んでホコリをかぶっていた。  部屋の半分は倉庫になっていて、山積みにされた1袋20kg以上のドッグフードのストックや缶詰めや資材で壁を作り、その手前に分厚いヨガマットが敷かれている。繁殖した犬を買いに来たお客さんに見せる時、母犬がリラックスできるようにだ。  ソファの横を通り過ぎて事務机の前まで行くと、所長は椅子に座ったまま僕の方に身体を向けた。所長が僕の手を引いたので、濡れたタオルなどは机の端に置いて、引き寄せられるまま彼の膝に座る。 「所長…甲斐谷を巻き込まないで下さい」 「巻き込む? そんなつもりは全然無い無い。たまたまちょうど部屋に戻る彼を見かけたから、言伝を頼んだだけや。嫌な思いをさせたなら謝る、すまん」  僕のシャツの中に手を入れてまさぐりながらの茶番な謝罪。今閉めたばかりのジャケットの前を開き、シャツを捲り上げられ、顔を擦り付けてくる。中年の雄の匂いと髭のザラつきが背徳感を抱かせた。  僕のことを気持ち悪いと罵った父に抱かれているようだ。  所長は、僕の小さな乳首に舌を這わせながら、ズボンのファスナーを開いた。  ズボンの中に手を入れると、僕の股間を揉みしだく。熱いグローブのような手に包まれると、身体の芯がジンと疼いた。 「後ろはちゃんとほぐして洗てきたか? ん? どれ、チェックしたるから下だけ全部脱いで、机に腹這いになりなさい」 「……はい…」  言われた通り下だけ脱いで下半身を晒すと、上半身を机の上に乗せてうつ伏せになる。さっさと終わらせてゆっくり寝たい。  所長が何かを机の引き出しから取り出したので振り向くいて確認すると、シリンジとコンドームだった。 78209e17-5f4d-4579-b7e0-c1757e566325 「ローション、入れるで」  つぷと細いシリンジが入って来て、ジワりと冷たい物が尻に広がる。内腿をゴツゴツした大きな手で撫で上げると、所長は僕を起こして新たな要求をして来た。 「誠、ワシのJrを咥えてくれるか?」  そういえばこの前、いずれ咥えてもらう口だとか何とか言ってたな。  事務椅子に座る所長の足の間に跪くと、ファスナーを開けて、Jrとやらを口に含んだ。
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