第27話 目覚め✔︎

1/1
507人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ

第27話 目覚め✔︎

 シャツの中で乳首をいじられ、ゾクリと背骨が痺れる。 「んぁっ……ぁ…」  執拗な所長の愛撫に、声が抑えられなくなり、次第に呼吸が浅く早くなっていく。チラリと視界に入った所長のJrは硬くなっていた。 「誠、立ってみ」  導きに身を任せ立ち上がると、所長はズボンとブリーフを脱がし、横向きにまた膝に座らせる。  机の引き出しからローションの入ったシリンジと、コンドーム3つを取り出すと、内1つを自分の指に被せてから冷たいローションを肛門に注入し、ゆっくりと入口を解きほぐし始めた。 「はぁ…あっ……んん……」  身体の力が…抜けてく…。  事務机に突っ伏して耐え、所長の太い指が3本入るようになると、所長は慣れた手つきで僕と自分のJrにゴムを着けた。 「誠もゴムを素早く着けれる練習せなアカンな。出来れば片手で10秒以内が理想やで。今度、そっちの方も仕込んだろな」  相変わらずの持論展開。こうやって僕は、いつの間にか思考も身体も所長に染められていくのか。 「傷に響くようならすぐ言うんやで」  机の上に座らされ、そのまま押し倒され、覆い被さられ、侵入され……  無意識に上がっていく吐息と拍動と体温。所長は終始、僕の左手を庇ってくれてはいるが、心臓のリズムに合わせて傷が痛む。  ズキン、ズキンと、虎鉄が存在した事を主張する。これは夢ではないのだと。これが僕の世界なのだと。快楽に逃げたつもりでも、脈拍と連動する痛みが僕を追い詰める。  天井の蛍光灯が揺れて見える中、窓の外に視線を移すと逆さまに立つ甲斐谷が僕を見ていた。嫉妬と苦悶に満ちた顔をして…なんてバカで可愛いんだろう。  事務机の上で大股を開き、所長に乗られて乱れる僕を見てもまだ好きだなんて、本当にイカれてる。  所長の肩にしがみつき、ニャウニャウ啼いていると、興奮した所長が机の横に置いてあった箱から真新しいスパイク首輪を取り出した。 「誠の為に買うたんやで。お前には皮の首輪がよう似合う」  茶色の分厚い本革で、銀色に鈍く光るいくつかの鋲が付いスパイクを頭からかぶせられ、抜けないように調節部位を絞め上げる。ついでにと着けられたリードで腕を後ろ手に縛られ、椅子に座った所長の上に乗るよう命じられた。  繋がれて、縛られた細い身体をくねらせて、所長の上で腰を振る。もう一度外を見ると、甲斐谷はまだそこに突っ立っていた。  こんなビッチの事が好きだなんて可哀想なヤツ。きっと今、甲斐谷は股間を硬くしている。ちょっと待ってろ、所長を食ったら相手してやる。 「床に足ついて、ちょっと腰上げとき」 「あぁっ…しょちょ……そこ…ダメ…」  所長の肩に額を当てて耐えるが、声がうわずる。所長の作り出す衝撃で、頭が真っ白になっていく。何も考えたくない、何も思い出したくない。ただ所長がもたらす快感の波だけを感じていたい。 「イクイク…も…ムリ…ムリぃ…んんーーっ!」  反り返る背を支えてもらって果てると、うねる僕の内臓が所長を果てさせた。 「誠っ…!」  所長のイク声を聞き、グラリと身体が崩れ、倒れそうになるところを所長が首輪で吊るして僕を支える。分厚い皮が喉に食い込み、鋲が視界に光った。 「どうや…ちょっとだけ忘れられたか?」 「はぁ…はぁ…はぁ…まだ…足りない……」 「ワハハハ、誠は賢者タイム無いんか。歳の差感じて辛いわw まぁええ、外にさっきから物欲しそうに見てる奴が居るから、ソイツの相手したり」  所長が外に向かって手招きすると、不満そうな顔をした甲斐谷が入ってきた。僕の腕を縛るリードを解くと、所長の膝から抱き上げる。僕はお姫様かよ。 「誠がまだ足らんそうや。甲斐谷、あとはお前が可愛がったれ…ワシは風呂入って着替えてくる」  所長が出て行くと、甲斐谷は僕を下ろして恋人のように抱きしめた。痛む左手に手を重ね、引き寄せて、服の上からキスをする。それが酷く滑稽で、僕は甲斐谷を椅子に座らせると、ついイジワルを言ってしまった。 「甲斐谷がリードを離さなければ、虎鉄は死なずに済んだのに…」  甲斐谷の足を割り膝立ちして見下ろし、その首に腕を回す。 「僕も噛まれなくて済んだだろうし、入間さんも虎鉄を殺さなくて済んだ…!」  ガチャッと首輪が音を立て甲斐谷に引き寄せられる。悲しみと後悔に苛まれた眼をして、甲斐谷は僕に命令した。 「咥えろ」  何万もの命が焼却炉への道で怯え震える中、僕は首輪を付けられ衣食住を保証されている。  理不尽な世の中。  世の中が変わらないなら、自分が変わるしかない。  変わってやる。  セックスなんてスポーツみたいなものだ。  勝負してやる。  どうすれば早く勃てられるか…  どうすれば早くイかせられるか…  全員、僕の性欲の捌け口にしてやる。  麻薬になってやる。  溺れさせてやる。  食い散らかしてやる。  鎖に繋がれたら、全て巻き取ってしまえばいい。  そして虎鉄のような犬を1頭でも減らす為、僕は必ず一流の訓練士になる。 fac6d23d-c12e-493d-b0e9-e834fbee82e9 形の無い鎖 [完]
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!