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1.嫌な一日
八月一日、木曜日。
今日は、僕が愛した人の葬儀が行われる日。
今から三時間後、僕は愛した人、國近紫に別れを告げる。
「起きたくない……。」
身体中が、起き上がることを拒否しているようだ。
何て気分の悪い目覚め。
何て、嫌な一日。
「蒼、早く起きなさい!」
母さんの声だ。
こんな日まで、五月蝿いなあ。
「紫ちゃんの葬儀、行くんでしょ。」
「……うん。」
痛々しい程赤く腫れた僕の両目を見たら、母さんも流石に五月蝿く言わなくなった。
「スーツ、下に用意したから。」
「……ありがとう。」
母さんが部屋から出ていってすぐのこと。
強烈な眠気に襲われた。
「っ……。」
逆らおうとしても、眠気は僕をどんどん支配していく。
そこで、ぷつりと意識は途切れた。
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