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 水着、ラッシュガード、ビーサンは履いていけばいいだろ? レジャーシート、簡易式テント、タオル、帽子、子供用日焼け止めローション……他に忘れ物はないか? 帰りの着替えも持った。熱中症が心配だから、氷をたくさん入れた水筒も二つ持った。はるが好きそうな簡単なおやつ、あとは――…… 「おにいちゃああぁぁあん! はやくう。はやくー!」 「わかってるよ! 今準備してるから、もう少し待ってくれな?」  うん? 大事なものを忘れてた! 浮輪だ! せっかく昨夜のうちに空気を入れといたのに、忘れたら一大事だよ。 「お~い、はる! 隣の部屋から浮輪持ってきてくれるか?」 「はあぁぁーい」  弾んだ返事とともに、パタパタパタと可愛らしい足音が聞こえてきた。 (さあ、忘れ物はないか? 昼飯は向こうで適当に買って食えばいいし――)  自分だけならば簡単に済む準備も、子供が一人いるだけでこんなに大変だとは思わなかった。 「エアコン切ったし、電気も消した。玄関の戸締りも済んだな。荷物も全て持った。はる、出掛けよう!」 「うん!」  外に出た途端、肌を突き刺さすような強烈な陽射しに一瞬怯んだが、これから水に入るのだと思えば『プール日和(・・・・・)だな』なんて思えるのだから笑っちまう。  炎天下の車内は蒸し風呂状態だった。速やかに全てのドアを開け放ち、熱気を逃がしてからエンジンをかけエアコンをMAXにした。しばらくすると、車内は快適な空間になる。それからはる(・・)をチャイルドシートに座らせた。すると、嬉しそうに浮輪をくるくる回して遊び出す。俺も素早くドライビングシートに座り、運転用のサングラスをかけシートベルトを締め、静かに車を発進させた。
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