第九章

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時貞とすごした不思議なひとときは、結子の胸に深くしまいこまれた。 結子は体に芯が通ったように感じ、前に感じていた足元のふらつきも今はなくなった。 そして、結子は、 「すみませんでした!また、部活に戻らせて下さい!」 下げた頭に視線が集まる。 けど、誰に何を思われようがどうだってよかった。 「私、これからもこの部活でやっていきたいです。意地を張らずにちゃんとみんなとも話しあっていきたいです。 だから、またよろしくお願いします!」 ひたすらに見つめる地面を見つめていると、温かい手の感触が肩に乗った。 「結子、頭をあげて。私達も悪かったの。ちゃんと結子の気持ち考えてあげればよかったね。ってみんなで話しあったの。 これからもぶつかることはたくさんあるかもしれないけど、私達も結子とやっていきたいの」 同級生達も結子の元にかけより、おかえり。と声をかけてくれた。 心の中に温かいものが溢れ出る。 仲間は弓場へと結子を迎え入れる。 「あ、あんたが休んでる間にめっちゃイケメンが入部したんだから」 「え、そうなの?」 康子のイケメンは信用できなくて、ちょっと笑った。 「それ、ほんとー?」 「あ、いたいた。」 その男子はぺこりと頭を下げ、こちらに向かって走ってくる。 その姿を見て、結子は思わず破顔する。 え、そんな似ることってある? 「はじめまして。時男と言います。よろしくお願いします」
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