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矢は迷いなく、真っ直ぐに飛んだ。
隙をつかれた天狗は、避ける間もなく、その矢を肩に受けた。
「当たっちゃった!」
結子は驚きの声をあげ、口が開いたまま立ちすくんだ。
「女、こっちに来い!」
時貞に激しく呼ばれて、神殿を駆け下り、慌てて彼の後ろに隠れる。
「お前すごいな!女でそれほどの腕前のやつをわしは初めて見たぞ!」
「それはどうも!」
と、時貞に返事をしながら、2本目を構えた。
青い髪の天狗は腕を庇い、苔色の髪の天狗は相棒を心配している。
「それ以上、来ないで。離すわよ!」
天狗達は、奥歯を噛み締めて静止した。
二人は目配せをする。
そして、体をぐっと縮ませると、大きく飛び上がり、空を駆けていってしまった。
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