第一章

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矢は迷いなく、真っ直ぐに飛んだ。 隙をつかれた天狗は、避ける間もなく、その矢を肩に受けた。 「当たっちゃった!」 結子は驚きの声をあげ、口が開いたまま立ちすくんだ。 「女、こっちに来い!」 時貞に激しく呼ばれて、神殿を駆け下り、慌てて彼の後ろに隠れる。 「お前すごいな!女でそれほどの腕前のやつをわしは初めて見たぞ!」 「それはどうも!」 と、時貞に返事をしながら、2本目を構えた。 青い髪の天狗は腕を庇い、苔色の髪の天狗は相棒を心配している。 「それ以上、来ないで。離すわよ!」 天狗達は、奥歯を噛み締めて静止した。 二人は目配せをする。 そして、体をぐっと縮ませると、大きく飛び上がり、空を駆けていってしまった。
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