第三章

6/6

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
結子は改めて天井を見上げ、天井と向き合った。 時計の音だけが流れていく。 目を閉じると、今日の出来事が、断片となってランダムに、突き刺さるように思いだされた。 ーーー部活 ーーー侍 ーーー狐 ーーー兄 離した時に指先を掠る矢の羽の感触がまだ残っている。時貞に絡みついた黒い糸が思い出される。 今日の放課後、逃げ出した時の気持ちが溢れてくる。 思い出される限りのそれらは、代わる代わる、交わりあいながら流れ星のように頭を掠め、駆け抜けていく。 結子はそっと目を閉じる。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加