第八章

3/7

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
「はははは。 女、甘いぞ。お前は本当に甘い」 笑い声の先には嘉次郎がいた。 「俺たちの運命はそんな優しいものではない。 どうしようもないのだ。 お前にわかるか?その苦しみが! 痛みが! だが、俺は屈したりしない。絶対に! だから、わしは時を超えてる!」 血走った嘉次郎の目は本気だった。 そして、嘉次郎はツグ姫を抱き寄せ、体をぐっと縮こませると、大きく空へと舞い上がった。 誰もが驚いて、見上げる先で嘉次郎は大きく大きくヤツデの団扇を振るった。 すると、先ほどまで雲に隠れていた月が姿を現し、辺りは昼のように明るくなる。 「さぁ、これで最後だ。俺たちは、時をかける!」 彼は懐から、時の玉を取り出した。 させてはいけない。 それでは、何の解決にもならない。 ただ、遺恨が残るたけだ!
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加