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「はははは。
女、甘いぞ。お前は本当に甘い」
笑い声の先には嘉次郎がいた。
「俺たちの運命はそんな優しいものではない。
どうしようもないのだ。
お前にわかるか?その苦しみが!
痛みが!
だが、俺は屈したりしない。絶対に!
だから、わしは時を超えてる!」
血走った嘉次郎の目は本気だった。
そして、嘉次郎はツグ姫を抱き寄せ、体をぐっと縮こませると、大きく空へと舞い上がった。
誰もが驚いて、見上げる先で嘉次郎は大きく大きくヤツデの団扇を振るった。
すると、先ほどまで雲に隠れていた月が姿を現し、辺りは昼のように明るくなる。
「さぁ、これで最後だ。俺たちは、時をかける!」
彼は懐から、時の玉を取り出した。
させてはいけない。
それでは、何の解決にもならない。
ただ、遺恨が残るたけだ!
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