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「オヌシ…やはり生きていたか。ワラワのカンは良くも悪くも当たるということか。」
玉座に覇気を放ちながら鎮座するルドラスの目の前に少し不思議な形の帽子を被った少女が現れた。
「ほう…この俺を止めに来たと、そういうことで捉えていいな、賢者殿!」
「うむ…オヌシはやはり覇道に堕ちると思っておったからのぅ…顔見知りなぶん、引導を渡してやらんとな。」
「フン、そんな体でよく言えたものだな。俺を止めに来たと言ったな…お前の得意なものを全て俺にぶつけてこい!」
「ああ…賢者様、我々をお助けください!」
「分かっておる…扉の氷は解いておいたぞ。後はワラワが全て責任をとろう。」
賢者はそう言うと再び険しい表情でルドラスの方を見た。
「許せ…ルドラス!これはお前のためじゃ!…ソウルコマンド…エターナルシール!」
賢者の呪文の後、ルドラスを玉座ごと包むように魔法陣が出現し、赤く光った。
「ぐっ…ま、まさか…この俺を封印するつもりか!?」
「そうじゃ…オヌシを止める最善にして最速の方法はこれ以外ないからのぅ。…じゃが、この魔法は単に封印する魔法ではない。永久消滅魔法じゃ!」
ゴゴゴゴ……
「ふっ…これが…俺の本当の最期か…ようやくこの世界から…いなくなれる。」
ルドラスは満面の笑みを浮かべながら石化した後すぐに光の粒子になって消滅した。
―架空の都市・臨海、西区の病院―
「は~いお疲れ様!どう、少しは歩けるようになったかしら?」
「はい、おかげさまで。後は学業だけですよ、ははっ。」
オレはふと、リハビリルームのカレンダーを見た。その日付は2025年3月25日となっていた。
………ってことは、オレは去年の10月から今に至るまでずっとこの無機質な病室で寝てたってことか? だとしたらまずい…まずすぎる!
オレ下手したら中一やり直しの可能性がぁぁ…
「長旅くん、どうかしたの?」
「へっ、あっ…いえ、ちょっと考え事をしてただけで…」
頼むから進級できませんは勘弁して。
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