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翌日から、水菜は精力的に動き始めた。
SEチームの仕事の把握、個人で抱えている仕事の把握。
確かに人数は増えて仕事量も増えてはいるが、個人単位で言えば変わらないし、パートの主婦チームは増えたと言ってもそれほどではないので、大きなプロジェクトや企業依頼を把握すれば、個人の物は変わらないと思った。
手帳に聞きながら書いて行った。
「今の仕事?エターナル最終兵器が動き出した感じですか?」
笑いながら古株のSEが言う。
「そうじゃないわよ。その言い方、あれ!あのアニメみたい。」
と言い、水菜は笑う。
「いいじゃないですか。かっこいい。さて、仕事ですね。
ベターからの企業依頼のシステム構築です。うちのチームですが、責任者は高橋さんです。全体の……3割…完成というところですね。」
「3割……。始まって2週間、後半が早くなるとは思えませんし、余裕を見た方がいいですね。」
「さすが、石原さん。後半頭が痛いとこで、社長にお願いするかもしれません。」
「分かりました。社長のスケジュールも少し余裕を持たせておきますね。
お仕事中ごめんなさい。ありがとうございました。」
「いえ、今の倉田さん?彼女、SEで入ったからか、スケジュールに関してはフロアは気にしてませんからね。まぁ、秘書ってそうでしょうけど…。
でも会社全体でする仕事もたまにはあるでしょう?
そのすり合わせ、彼女出来るのかな?って思う事あって…。」
「頑張ってますし若いですからね?実は佐藤さんも可愛くて見惚れているのではないですか?」
笑って言うと、佐藤も笑って否定した。
秘書室に戻り、自分のノーパソに会社全体の聞き込みしたスケジュールを入れて行く。
被っている箇所がいくつかある。
(ここはHP管理だから問題ない。高橋さんのシステム構築と、昨日の新しい契約の新規のシステムが別チームで動いてるけど、どっちも終わりが同時期に重なりそう。しかも社長案件になる可能性大…。)
考えて社長のスケジュールと照らし合せた。
(再来月…前半空けておきたい。ゲーム開発もしている事だろうしね。
空けてもらえるように倉田さんに話しておこう。)
考えたとき、倉田が秘書室に入って来た。
コーヒーを持っていた。
「石原さん、15時ですよ?大丈夫ですか?」
声を掛けられて時計を見た。
「やだ、本当だ。ごめんなさい。お先に失礼します。」
「お疲れ様でした。」
倉田が階段を上って行く。
膝上のヒラヒラしたスカート。
胸を強調したV字のシャツ。
ボレロ型でボタンを閉めると小さめのジャケット。
小さな倉田に良く似合う可愛らしいツーピース。
(何を考えているんだろう……私は。倉田さんはもう一人で一年近く真の側にいるんだから…。)
反省して空を迎えに行った。
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