職場復帰

7/7
前へ
/96ページ
次へ
翌日から、水菜は精力的に動き始めた。 SEチームの仕事の把握、個人で抱えている仕事の把握。 確かに人数は増えて仕事量も増えてはいるが、個人単位で言えば変わらないし、パートの主婦チームは増えたと言ってもそれほどではないので、大きなプロジェクトや企業依頼を把握すれば、個人の物は変わらないと思った。 手帳に聞きながら書いて行った。 「今の仕事?エターナル最終兵器が動き出した感じですか?」 笑いながら古株のSEが言う。 「そうじゃないわよ。その言い方、あれ!あのアニメみたい。」 と言い、水菜は笑う。 「いいじゃないですか。かっこいい。さて、仕事ですね。 ベターからの企業依頼のシステム構築です。うちのチームですが、責任者は高橋さんです。全体の……3割…完成というところですね。」 「3割……。始まって2週間、後半が早くなるとは思えませんし、余裕を見た方がいいですね。」 「さすが、石原さん。後半頭が痛いとこで、社長にお願いするかもしれません。」 「分かりました。社長のスケジュールも少し余裕を持たせておきますね。 お仕事中ごめんなさい。ありがとうございました。」 「いえ、今の倉田さん?彼女、SEで入ったからか、スケジュールに関してはフロアは気にしてませんからね。まぁ、秘書ってそうでしょうけど…。 でも会社全体でする仕事もたまにはあるでしょう? そのすり合わせ、彼女出来るのかな?って思う事あって…。」 「頑張ってますし若いですからね?実は佐藤さんも可愛くて見惚れているのではないですか?」 笑って言うと、佐藤も笑って否定した。 秘書室に戻り、自分のノーパソに会社全体の聞き込みしたスケジュールを入れて行く。 被っている箇所がいくつかある。 (ここはHP管理だから問題ない。高橋さんのシステム構築と、昨日の新しい契約の新規のシステムが別チームで動いてるけど、どっちも終わりが同時期に重なりそう。しかも社長案件になる可能性大…。) 考えて社長のスケジュールと照らし合せた。 (再来月…前半空けておきたい。ゲーム開発もしている事だろうしね。 空けてもらえるように倉田さんに話しておこう。) 考えたとき、倉田が秘書室に入って来た。 コーヒーを持っていた。 「石原さん、15時ですよ?大丈夫ですか?」 声を掛けられて時計を見た。 「やだ、本当だ。ごめんなさい。お先に失礼します。」 「お疲れ様でした。」 倉田が階段を上って行く。 膝上のヒラヒラしたスカート。 胸を強調したV字のシャツ。 ボレロ型でボタンを閉めると小さめのジャケット。 小さな倉田に良く似合う可愛らしいツーピース。 (何を考えているんだろう……私は。倉田さんはもう一人で一年近く真の側にいるんだから…。) 反省して空を迎えに行った。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4109人が本棚に入れています
本棚に追加