4099人が本棚に入れています
本棚に追加
翌朝、真から提案をされる。
それにも水菜は驚きを隠せなかった。
カウンターテーブルに、ご飯、お味噌汁と切り干し大根の煮物、玉子焼きとウィンナーは一つのお皿に載せて出した。
ベビーベッドの空を見ながら水菜も食事を進めていた。
「なぁ…今年のお盆、3日位、取ろうと思うんだ。」
と、いきなり言い出した。
「うん……。別にいいと思うけど?」
休みを取るのに急にどうしたのかと水菜は思った。
「それでさ…。」
珍しく話にくそうに真が口籠もる。
「どうしたの?」
「うん…。水菜が嫌じゃなければだけど…水菜の家に、実家に遊びに行きたいんだ。俺、行った事ないし、空にもね、見せたいと思うし、生の空も、水菜のご両親に会わせたいし…。」
「なまの空って……。まぁ、気持ちは有り難いし、分かるけど無理してない?」
「俺も見たいんだ。水菜の育った所。駄目かな?泊まりが無理そうなら、近くでホテルでもとってさ。二泊三日。」
水菜は少し考えて空を見る。
愛息子は親にも会わせたいし、祖父にも会わせておきたい。
「ねぇ、真?」
「なに?」
「私ね……おじいちゃんや母の勧めたお見合いを断ってしまったのね。」
水菜は思い出すように話す。
「もう…昔の話だろ?おじいさんは式にもお見えにはならなかったけど、お母さんは来てくれたし、気にしてなかったよな?」
「うん…。おじいちゃんが来ないのは理由があるからで、お見合いの件とは関係ないんだけどね?おじいちゃん、私の事、溺愛してて、そのおじいちゃんの願いを聞かずに家を出て、真と結婚したから少し会いにくいんだ…。」
真は食事を終えて、水菜を見る。
「ごちそうさま。でも水菜、会いたいんだろ?行こうよ?空を見せにさ。
怒られるなら、俺が怒られるし…。だってさ、水菜と結婚したいと思ったのは俺なんだし…。」
「カウンセリングに通っていた話は…祖父にもしてないの。」
不安そうな顔で水菜は呟く。
「大丈夫、言わないよ。もう、過去の事だ。心配かけたくないんでしょ?
今回は空を見せに行く、俺が水菜の育った場所を見る。それでいいよね?」
「うん、ありがとう真。でも……。」
なんだか水菜には引っかかる物がある。
「んー?」
お茶を飲み、真は水菜を見た。
「なんだろう?何かが引っかかる……。」
と、考えながら水菜は言う。
「馬鹿だなぁ。何を考えているんだ?深く考える事じゃないぞ?
まだ2ヶ月あるから、水菜、ご両親に連絡して、ホテル探しておくな?」
「うん…。でも、実家泊まれると思う。まず、電話してみるね?」
「じゃあ、その後でいいな、ホテルは。」
「そうだね。夜、電話するね。」
真はどこか挙動不審で、何となく、水菜には何かが引っかかっていた。
最初のコメントを投稿しよう!