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秘書室に入り、サブの机に鞄を置いて座る。
メインの机には社長室内線の通信機が机の右端に置いてある。
(懐かしい…。あれには随分、苦労させられたなぁ…。)
2年前はこんな風に自分がここにいるとは考えもしていなかった。
「仕事、仕事…。」
久し振りなので自分のノーパソを机に出して準備する。
会社のパソコンを置く。
電話を取りやすい位置に少し動かす。
秘書室のドアが開き、倉田が入って来た。
「おはようございます。お帰りなさい。石原さん。」
水菜は席を立ち、倉田に向け真っ直ぐに立つ。
「おはようございます。今日からまたよろしくお願いします。」
頭をしっかりと下げて挨拶をする。
「そんな、先輩ですからやめて下さい。」
倉田は恐縮するが水菜は笑顔で言う。
「いいえ、休みの間分からない事も多いと思うので、教えてくださいね?
早速ですけど今の会社の仕事状況を知りたいのですが?」
「ああ、はい。じゃあ、社長の今月のスケジュールから…。」
倉田から社長の月単位のスケジュールを聞く。
(副社長のスケジュールは?会社全体の流れは?)
倉田は社長のスケジュールしか把握してないようだった。
「ね…。副社長のスケジュールは?」
「それは林田の担当ですから、林田に聞いてください。」
「え?じゃあ、会社全体の仕事の流れは?納期とか、HP作成期限とか…そういう……。」
「それは、秘書課の仕事ではないので。」
「じゃあ、どこの仕事なの?」
復帰早々、今までと少し違う事に戸惑った。
「個人に割り当てられたものは個人の責任ですし、チームに割り当てられたものはチーフが責任を取ります。秘書課は社長と副社長のサポートですから。」
(もっともだけど……サポートする為に会社全体の把握は必要じゃないの?
増して真は、会社全体の仕事をしているのに…。)
そうは思うが、この状態で一年近くやって来ているわけで、秘書課が、そもそも水菜の時にはなかったわけで……。
何も言えずに、そのまま社長の元にスケジュール確認に向かった。
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