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それぞれが心に何かを抱いて、新しい年を迎えた。
「予定日分かった?」
お腹に手を当てて真は聞いた。
「んー5月末かな?まだはっきりとは分からないわ。」
「幸人のとこは3人目か。2ヶ月遅れ?」
「そうね、7月中かな?もしかしたら8月になるかもね。でも楽しみね?
賑やかになる。」
「だなぁ。あっちは二人女の子だろ?うちは空が男だから、次も男かな?」
「どっちが良い?」
「どっちでもいい。笑った顔が水菜に似てたらもっと良い。水菜は?」
「私もどっちでもいいけど、女の子も欲しいかな?」
「女の子……。それはちょっと嫌かな?」
真がお腹に手を当てたまま、本当に嫌そうな顔で言う。
「何で?」
ちょっとむくれて、水菜は真の顔を見た。
「だっていつかお嫁に行くだろ?許す自信がないんだよな?」
「はぁ?いつの話をしてるの?産まれてもいないのよ?」
呆れながら言い、水菜は笑った。
6月初め、予定日を少し遅れて、水菜は女の子を出産した。
真は言うまでもなくメロメロで、病院に毎日来ては写真を撮っていた。
(カメラ…家に帰ったら、高性能に交換されている気がする。)
そんな真の様子を見て考えるが、それは既に交換された後である事を水菜が知るのはもっと先の話になる。
1週間で無事に退院して、ベビーベッドの向こう側に立派な命名を見る。
「ま、なつ?」
「真夏(まな)だ!七瀬 真夏!いいだろ?俺と空で真空(しんくう)だからさ、
今度はくっつけてみた。どうだ?ダメか?」
「まな……。真夏ちゃん。うん、可愛い。ありがとう真。」
「ははっ…三葉も候補に上げたんだけどさ。」
「野菜だものね?」
すかさず水菜は突っ込みを入れる。
「いや、いいと思う、可愛いよ?水菜の名前。そういう意味で決めなかった訳じゃないからね?」
焦る真を見て、水菜はくすくすと笑った。
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