職場復帰

4/7
前へ
/96ページ
次へ
倉田から一歩下がった状態で倉田のスケジュール確認を聞く。 心の中は少しモヤモヤする。 「じゃあ、これから新しい契約に出かける。留守は頼むな。何かあれば連絡して。」 「はい。」 「水菜は、何かある?」 真に聞かれて驚いて返事をする。 「あ、いえ。すみません。」 「倉田、先に下、戻ってて。水菜、ちょっといい?」 倉田は一礼し、階段を下りていく。 水菜はすぐに真に謝る。 「申し訳ありません。復帰すぐでぼうっとしまして…。」 真は倉田が下りたのを見てから、水菜に話し掛ける。 「どうかした?空が気になる?」 スーツの上着を着ながら、水菜を見て聞いた。 「ううん、そうじゃないの。少し、やり方が変わってて、戸惑ってる。」 全てを話してしまうと、言いつけているみたいで嫌だった。 「うん…まぁ、若いのが入ったしね。林田も23、倉田も24か。 出会った頃の水菜と同じだな?俺たちも年を取った。」 「そうね。言われてみたら…そうかもね?仕事の事は秘書室長に相談するわ。 私より復帰は早い先輩だしね。」 「ああ、今日は俺、外だからちょうどいいだろう。梨香と久し振りににランチでも行っておいでよ。」 「お弁当あるのに?」 「男以外、誰かにあげてもいいよ?」 「女性限定?難しくない?」 くすくすと笑う。 「人も増えたしやり難い事もあると思う。社長夫人ていう立場もあるし。 何でも話して、一人で悩むなよ?」 腰に手を回されて、おでこにコツンとおでこを付けられた。 「コミュニュケーション下手の真に言われたらお終いね?」 くすくす笑うと、真も同意して笑った。 「じゃあ、下手なりに頑張ってくる。水菜、15時!ちゃんと帰れよ? 空、頼むな?」 「そんなに遅くなるの?」 「ああ、ギリギリかもしれないから、一応な。行って来ます。」 「いってらっしゃい。」 真を見送り秘書室に戻った。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4109人が本棚に入れています
本棚に追加