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倉田から一歩下がった状態で倉田のスケジュール確認を聞く。
心の中は少しモヤモヤする。
「じゃあ、これから新しい契約に出かける。留守は頼むな。何かあれば連絡して。」
「はい。」
「水菜は、何かある?」
真に聞かれて驚いて返事をする。
「あ、いえ。すみません。」
「倉田、先に下、戻ってて。水菜、ちょっといい?」
倉田は一礼し、階段を下りていく。
水菜はすぐに真に謝る。
「申し訳ありません。復帰すぐでぼうっとしまして…。」
真は倉田が下りたのを見てから、水菜に話し掛ける。
「どうかした?空が気になる?」
スーツの上着を着ながら、水菜を見て聞いた。
「ううん、そうじゃないの。少し、やり方が変わってて、戸惑ってる。」
全てを話してしまうと、言いつけているみたいで嫌だった。
「うん…まぁ、若いのが入ったしね。林田も23、倉田も24か。
出会った頃の水菜と同じだな?俺たちも年を取った。」
「そうね。言われてみたら…そうかもね?仕事の事は秘書室長に相談するわ。
私より復帰は早い先輩だしね。」
「ああ、今日は俺、外だからちょうどいいだろう。梨香と久し振りににランチでも行っておいでよ。」
「お弁当あるのに?」
「男以外、誰かにあげてもいいよ?」
「女性限定?難しくない?」
くすくすと笑う。
「人も増えたしやり難い事もあると思う。社長夫人ていう立場もあるし。
何でも話して、一人で悩むなよ?」
腰に手を回されて、おでこにコツンとおでこを付けられた。
「コミュニュケーション下手の真に言われたらお終いね?」
くすくす笑うと、真も同意して笑った。
「じゃあ、下手なりに頑張ってくる。水菜、15時!ちゃんと帰れよ?
空、頼むな?」
「そんなに遅くなるの?」
「ああ、ギリギリかもしれないから、一応な。行って来ます。」
「いってらっしゃい。」
真を見送り秘書室に戻った。
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