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「ほら!笑って?」
懲りもせず言い続ける夫に、
(どんな威力だ?バズーカですか?)
と、聞いてみたい気持ちを抑える。
「真夏はオムツだろ?俺、やるから、水菜は笑って空を抱いてやれ。
甘えたいんだ。俺にはよく分かる!」
(…なぜ分かる…。)
と突っ込みたいが、今は忙しいから止めておく。
言われた通りに、笑いながら空を抱く。
「そーら!どうしたの?ぽんぽんは痛くない?お熱もないね?空はお兄ちゃんになったんだよ?お母さんがいる時は泣いてもいいけど、真夏ちゃんと二人になったら助けてあげてね?真夏ちゃんは空の妹だから。
お母さんは二人が大好きだから…。」
空をぎゅっと抱きしめた。
空の顔を見て笑顔を見せる。
すると空も笑い顔になる。
(え?真……凄い!えっ?ちょっと…私の笑顔ってすごいの?)
と思いながら真を見た。
一生懸命にオムツを替える真がいた。
「よし!真夏、次はミルクだな!水菜、交代だ。」
「あぁ…はい。」
呆気に取られて、慌てて返事をした。
真は手際が良くなった。
空の時も手伝ってはくれていたけど、仕事を優先する事が主だった。
当然と言えば当然で、働かない夫ではそれはそれで困る。
家にいる時はほとんど手伝ってくれていたし、空だけは託児所に連れて行ってくれる。
それもあって空は家にいる時はお母さんべったりになる訳だけど、それでも3時間置きの授乳を考えると、2歳を前にした空を預けられるのは寂しさ半分、助かる気持ち半分だった。
6月後半、7月からは梨香が産休に入る。
予定日は8月3日だそうだ。
梨香は年明けから宣言通り、林田をバリバリ教育した。
衝突もあったが林田に負ける梨香でもなかった。
むしろ妊婦なのに6ヶ月までは周りにも内緒で、幸人がはらはらする結果になった。
新入社員も2名入った。
真も相変わらず、会社では我儘で不機嫌な社長だ。
最近は子供には優しいけど…と言うワードが足されたらしい。
目には見えない成長を大人はしているのかもしれない。
もしそうなら、私も真も…成長していると嬉しいと思う。
今、一人ではない。
二人でもない。
四人だ…。
傷付いている暇もない…守るべき者が出来たから。
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