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真夏は2ヶ月。
まだ首も座ってないから、授乳が3時間の間は真は空を託児所に連れて行くと言う。
だから朝から二人分のお弁当を作る。
真は毎日17時には一度帰宅する。
空を連れて帰って来る。
そのまま真夏をお風呂に入れてくれて、空を入れて、夕食を食べて、自室の仕事部屋に籠る事もあれば、また会社に戻る事もある。
近いから楽だよと笑って言う。
身体には気を付けてもらいたいから、食事はしっかり栄養バランスを考えている。
野菜があまり好きではない真のために、煮物、炒め物、色々混ぜたり、小さく切ったり…毎日工夫を凝らして頑張っている。
「よし!今日は生野菜のサラダ付き。食べてくれるといいけど…。」
願いを込めてタッパーを閉めた。
「はい!お弁当。」
エレベーターの前でお弁当を渡す。
真は来なくていいと言うけど、気になるから駐車場までは朝の散歩を兼ねて、真夏をベビーカーに乗せて付いて行く。
その間は空も水菜の手を取り、離さない。
一緒に手を繋いで、真の後ろを付いて歩く。
チャイルドシートに座らせるのを、水菜は手を出さずに見ている。
「よし!オッケー。」
その言葉を聞いて空に近付く。
「空?気を付けて行ってらっしゃい。はい、今日はこのおもちゃにしたわよ?
どう?一人で車の中で遊んでいい子ね?お友達にもよろしくね?」
毎日、違うおもちゃを選び、それをあやしながら空に渡す。
「んーいい子!ちゅっ!」
頬にキスをする。
真はベビーカーの真夏を見ながら、それに反応する。
「あ!俺には?」
冷たい視線を向けられる。
諦めて車に乗りこみ窓を開ける。
「気を付けてね?我儘言わないでよ?私がいないからって、仕事中に空の所に行き過ぎたら駄目よ?今日もありがとう真。」
満面の笑顔を向けられる。
真にはこれだけで幸せだ。
「気を付ける!行って来ます!真夏、行って来るな?いい子でな?ほら、中入って!」
マンションの中に入る様に言われて、裏口のホールまで戻る。
それを見てから真は車を発進させて、駐車場に一番近い裏口のホールの前をゆっくり通過する。
裏口にも警備員がいて、安心するのだと思う。
手を振る……真は笑顔で一瞬、横を見て、すぐに前を向く。
「さて、真夏。戻ろうか。上まで二人でお散歩だね。」
ゆっくりと水菜は戻って行った。
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