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「おはよう」
朝起きて行くと、ベビーベッドでは検温中。
「おはよう真、よし、お熱なし。空は?ありがとう…うん、よし!
空、お父さんに椅子に座らせてもらって。」
水菜は忙しく動く。
「ほい、椅子どうぞ!」
椅子に座らせると、空は小さく頭を下げる。
「まじでいい子だ!!」
頭をくしゃくしゃすると笑顔で返してくれる。
「ムッチャかわいい……。」
抱きしめ様とすると水菜に止められる。
「はい!食べる!」
味噌汁を置かれる。
「……いただきます。」
「空もはい、どうぞ。」
「いたーましゅ…。」
(可愛い……抱きしめたい……。)
横目で空を見ながら考えて、手を出して面倒を見る。
まだ犬食い…。
朝は忙しいから好きに食べさせる事にしている。
我が家の教育方針は結構、大らか。
「ねぇ、真、託児所に今日からって伝えてくれた?」
空を見ながら、真夏を抱いて水菜は聞く。
「勿論、伝えたよ。緊張してんだろ?」
笑って真は聞いた。
「それもあるけど、心配が大きいかな?空は兎も角、真夏は初めてだし。
ねぇ、本当に帰りお願いしていいの?」
「当たり前でしょ?往復30分程度、都合も付かない社長の会社何て駄目だろ?二人もいて、空は最近、油断すると走るしな?
水菜一人じゃ大変だよ。」
「助かるけど、毎日よ?」
水菜は社長を心配している。
「無理な時は言うし、倉田にその時間スケジュール空ける様に伝えてある。
俺はいいお父さんになるんだ。」
空の口におかずを勧めながら真は言う。
(もう、充分、いいお父さんです!)
調子に乗るから、思っても口には出さない。
「あ、お弁当ここね?野菜サラダも食べてね?少しでもいいから。」
「食べてますよー。いつもありがとな?」
水菜は今日から仕事復帰。
真夏は6ヵ月を過ぎて、新年に復帰したらと真は言ったが、
「疲れた頃に年末になるから丁度良くない?」
と、笑顔で言われた。
産休の間も倉田が連絡をくれるので、会社の事は把握出来て有り難いと話していた。
12月後半は存外、忙しいので気にしてくれたのだと思う。
前よりも朝はばたばたで、水菜は随分早起きをしていた。
食事の片付け中は真が子供達と、リビングに居てくれるから助かっていた。
「忘れ物…なし!真、行けるよぉ〜。」
「おお、じゃあ行くか。」
真夏を抱いて玄関まで先に行き、ベビーカーに乗せずに抱いたままベビーカーを持つ。
「空、お母さんと手を繋ごう。」
手を差し出して水菜は小さな手を握る。
「お!いいなぁ、空。」
本当に羨ましそうな顔で真は言う。
これからはこんな毎日が続いて行くのだと思う。
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