すたーと

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すたーと

僕と彼女が出逢ったのがいつかはあまり定かではない。 赤ん坊から成長し自我が芽生え、意識や記憶がはっきりとしてくる頃。そんな頃から気がつけば僕と彼女は隣にいた。 とある保育園で僕たちは、子どもらしく遊び、食べ、昼寝をし日々を過ごしていた。 ただひとつ。はっきりしていたのはこの頃既に僕は彼女に恋をしていた。俗に言う初恋である。 彼女には双子の姉が居たが、あまり顔は似ていない。ただ2人とも世間一般的に見れば整った顔立ちではあった。 しかし彼女たちは当時からするとあまり考えられないと思うが、姉は緑色の髪、僕が恋した妹は茶髪という風貌であった。 そんな彼女にどうして恋をしたのか今となってはわかるはずもない。 ただその一方的な片想いが打ち明けられないまま卒園近くまで続いていた。 そして卒園が迫っていた頃、とある日の保育園の休み時間。 彼女に告白をしたかった僕は、青いビニールで覆われたリネンの収納棚の中に彼女を呼んだ。 その場所はよく2人で忍び込み他愛ない話をしていた保育園での2人だけ秘密基地である。 しかし何をどう伝えればいいかもわからずただいつも通りに話をしていると、突然彼女がキスをしてくれた。 ドキドキしていると彼女は「外国やと挨拶なんやって!」と笑顔で話した。 当時、そもそもキスという存在自体を恋愛の行為として認識していなかった僕は、好きな子と唇が触れたという嬉しい気持ちと、挨拶なのかという少し残念な気持ちを抱いた。 それから卒園までの役4ヶ月程の間、リネンの収納棚に入ってキスをするのが彼女と僕の挨拶であり2人だけの秘密になった。 そんな日が続きついに卒園の日。 幼馴染であった僕たちは、お互い隣町に住んでいた為ギリギリ校区が違っており、きちんと想いが伝えられないままに別の小学校に入学した。
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