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どーなつ
小学校に入学してから、彼女がどこに住んでいるかもわからない僕は、送る宛もなくラブレターを書きためていた。
今にして思えば、親に聞くなりすれば住所などわかったのかもしれないが、彼女を好きだという気持ちは親には隠したかったのだと思う。
僕が通った小学校では同学年は1クラスしかなく、男女共すごく仲が良かった。
そんな中で僕は女の子から特別人気がある方でもなかったが、3年生になった頃から卒業まで、2人からバレンタインデーのチョコレートとラブレターをもらい続けていた。
子どもながらにモテるというのは、もちろん嬉しかったし返事も書いた。
しかしその実、逢えるはずもない初恋の彼女が僕の心を独り占めにしていた。
そうして胸に大きな穴を抱えたまま、叶う事のない気持ちを6年間持つこととなる。
中学生になる直前、6年生のみんなで中学校の見学があった。
その時隣町の小学校も来ていた。
各小学校が列になり中学校の中を散策していく。
体育館の前で彼女にどこか雰囲気の似た女の子とすれ違う。
しかし記憶にある彼女の名字と名札に見えた名字が違った上に顔までよく見ておらず、すれ違いざまだったので声をかける時間も勇気もなかった。
もしかしたら彼女がいるかも。という淡い期待を抱きながらも、僕は自分の夢であった教師に近づくために私学に通う事にした。
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