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あまのじゃく
地元を離れた別の中学校に入学した僕は、陸上部に入部し、文武共に励んでいた。
そんなある日の初めての試合。
自分の試合が終わり記録を張り出している掲示板へと足を運ぶと、思ってもみない光景が飛び込んできた。そこには彼女がいた。
思わず話しかけようとした時にふと彼女が振り返り僕に気づいた。
久しぶりの再開を喜び、他愛もない会話をしている中で連絡先を交換しようという話になり、携帯を取りにテントまで足早に戻る。
先ほどの掲示板の前に集まり連絡先を交換する。
ウキウキした気持ちで家に帰りやり取りをする。
中学校見学で名字が違ったのは親が離婚したようだったがそれは僕も同じだったので、似たような境遇に親近感を覚えたのか、よく話しが弾んだ。
そこから何か起こるでもなく、やり取りをしている中で中学二年生になる頃、彼女から付き合って欲しいと言われた。
あまりの突然さに嬉しさと驚きで少しパニックになった。
しかしその時僕は彼女の告白を断った。
好きな気持ちが冷めたとか他に好きな子が居たとかでは決してなく、付き合うという事自体に現実味がなく、どうすればいいかもわからなかったからだ。
中学に入って20人程から告白されていた彼女は、断られた事に対しては平気な様子であった。
その後彼女は数人と付き合ったらしいが、いずれも長続きはせず、かくいう僕は振ったことを後悔しながらも自分の気持ちを打ち明けられず中学生活を過ごす事になった。
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