#6 助手席の熱

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「今日も家まで送っていくね」 夕暮れの海岸沿いを走って、戻る途中のレストランで食事をして。腕時計を見ると、8時半を過ぎたところだった。 「あ、はい。……ありがとうございます」 「紗友里ちゃんの家、まだちゃんと場所覚えてなくて。教えてもらってもいい?」 「はい……」 ──もう少し一緒にいたいな。でも、今日はずっと運転していたし……古賀さん、きっと疲れてるよね。 「紗友里ちゃん?」 ──やっぱり、もう少しだけ一緒にいたい。わがままって思われちゃうかな。 わたしは今夏休み中だし、バイトや友達との予定以外は基本的に暇だ。 でも、古賀さんは平日はお仕事だし、土日だって毎週必ず会えるわけじゃない。寂しいけど、それはちゃんとわかっている。 だから、もうちょっとだけ──今日をまだ、終わらせたくないの。 「紗友里ちゃん、お腹いっぱい?大丈夫?」 「……古賀さん、あの」 「ん?」 「もう少し、一緒に、いたいです」 絞り出すようにそう言うと、古賀さんが小さく「えっ」と声を上げた。 「あの……ごめんなさい、わがまま言って」 「いや、全然わがままなんかじゃ……むしろ……」 古賀さんは何かを考えるように「……ほんと、紗友里ちゃんって」とため息をつきながら呟いた。 「疲れてますよね?ごめんなさい」 「いや、全然そんなことはないよ。じゃあ、夜景でも見に行こうか」 「夜景……ですか?」 「うん。あんまり有名じゃないところだけど、穴場知ってるんだ」
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