#10 同級生

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──Side 侑一 「わぁ、ほんとだ。めっちゃイケメン」 「……ってグループのリーダーの子に似てない?背高くてシュッとしてて、クールな感じで」 「わかる!」 「隣で教えてる女の子も可愛いよね。ここ、顔採用なのかな」 19時頃に川田とカフェに行くと、俺たちの前に並んでいる女性3人がキャッキャと楽しそうに話していた。彼女たちは別の会社の名札を下げている。 ということは、うちの会社以外でも例のバイトは有名になっているらしい。 ──あの男か。……ああ、確かに。ていうか、隣で教えてる女の子って……紗友里じゃん。 「なるほどな、そういうこと。お前、可愛い奴だな」 「うるせえな、奢ってやるから黙れ」 「ついてきてやったのにそれはなくない?……なぁ、お前の彼女、なんか女っぽくなったな」 「川田、だから黙れって」 「もともと可愛かったけど、こう、さらに……」 「お次の方どうぞ。……あれ、侑一さん?」 川田が何かろくでもないことを言い出そうとしたとき、紗友里の驚いたような声が聞こえた。 前に並んでいた女性たちはとっくにレジの隣にずれていて、コーヒーができるのを待っているようだ。 「残業ですか?」 「うん。ブレンドのM2つ」 紗友里は、白のワイシャツに黒のカフェエプロンを身につけ、肩下まで伸びた髪を後ろでまとめている。何回見ても可愛いなぁと、そのにこやかな笑顔に癒されながらも──なぜか刺すような視線でこちらを見てくる「震えるレベルのイケメン」の存在が気になって仕方がない。 「二階堂くん、ブレンドM2つお願いします」 「あ、3つで」 「え?」 「香坂(こうさか)の分。あいつも残ってたから」 ──そうだっけ。川田、よく見てるなあ。そう思いながら千円札を2枚出すと、「あ、いい。自分で払う。香坂のも」と1枚は突き返されてしまった。
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