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本屋さんや服屋さんをブラブラ回って外に出ると、空がだいぶ薄暗くなっていた。
「なに食べますか?」
「あ、えっと……」
古賀さんが少し困ったような顔をして、頭をわしゃわしゃと搔く。……あ、あれ?今の、なにかまずかった?
「古賀さん……?」
「……あの、実は、お店を予約してて。完全に俺の独断と偏見で決めちゃったんだけど」
「え……?」
「前島さんの好きなものとか全然わからないから迷ったんだけど、土曜日だし混んでたらアレだな、と思いまして」
──うそ。どうしよう、嬉しすぎる。
「あ、ありがとうございます。わたし、なんでも食べれます。大丈夫です、絶対」
嬉しくて嬉しくて、つい早口になってしまう。まさか、お店を予約してくれているなんて思ってもみなかった。
「よかった。普通のお店だから、期待しないでね」
「そんなふうに言われたら期待しちゃいます」
前島さん、意外と意地悪だねと古賀さんが笑う。
──あ、また目尻の笑い皺。わたし、古賀さんの笑った顔、好きだなぁ……。
先週のところの近くだから、と歩く古賀さんの半歩後ろを、ドキドキしながらついていく。
わたしは、自分がどんどん古賀さんに惹かれていることを確信していた。
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