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──Side 侑一
「わぁ、おいしそうなお酒がたくさんある」
どれにしようかな、と嬉しそうに選んでいる姿がすごく可愛くて、店予約しておいてよかった、と心から思った。
先週の合コン会場から割と近いダイニングバー。俺自身はこういうお店に疎いから、川田に相談して教えてもらった。
「え、お前もしかして、あの子とデート?前島さんだっけ?マジかよ、あんな可愛い子と古賀が」
「うるさい、いいから店教えてくれ、いい感じの」
川田は俗に言う「チャラ男」ってやつで、お洒落で女の子が好きそうなお店に詳しい。
いつも「女関係ちゃんとしろよ」と川田に言っている俺が、あいつに助けてもらうことになるとは思わなかったな……。
「すごくおいしいです。このサングリア」
前島さん、喜んでくれてる……よな?川田さまさまだ。
「それはよかった。ここ、ビールの種類も多くて俺も選ぶの楽しいよ」
「古賀さん、すてきなお店知ってるんですね」
「いや、えーっと……まあ、この歳になればいろいろ行ってるから」
──何を言ってんだ、俺は。女の子と二人で飲むのなんてものすごく久しぶりのくせに。
前島さんと一緒にいると、何かとカッコをつけてしまう。ちょっと年上だからっていう謎の意地なのか、自分の好みの女の子だからなのか、それとも、前島さんにどんどん惹かれているからか──。
……一番最後の理由かな、やっぱり。
運ばれてきたサラダを取り分けている前島さんを見ながら、密かにそんなことを考える。
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