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「今の大学生なんて、俺にとったらもはや新人類だよ」
ピザを食べながら、古賀さんが苦笑いして言う。
「新人類……ですか」
古賀さんは、わたしが今打ち明けようとしていたことを知らない。知るはずもない。だけど……。
話があまり良くない方向に向かっていることを感じて、胸がどくんと嫌な音を立てた。
「めちゃくちゃおじさんっぽい意見だけど、ほら、もしいくら可愛かったとしても、そういう対象にはなりえないっていうか」
ていうか、出会うことすらないのになんの心配してるんだ俺は、と古賀さんが笑う。
──そういう対象には、なりえない。
古賀さんの言葉が心に重くのしかかる。
もし本当は大学生だってことが分かったら、わたしは恋愛対象にはならない……ってこと?
「前島さん、大丈夫?具合悪い?」
古賀さんの声ではっと我に返る。周りの喧騒がさっきよりも耳に響く。
「いえ……そんなことないです」
「空調あまり効いてなくてちょっと暑いよね。お酒、無理しなくていいよ。ノンアルも美味しそうなのあるし」
ほら、と古賀さんが笑顔でメニュー表を手渡してくれる。細やかな気遣いがありがたくて、申し訳なくて、なんだか泣きそうになった。
──もし打ち明けたら、もう、会ってくれなくなる……?
そう思うと怖くて、「実は大学生です」なんて口にする勇気は出なかった。
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