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──わたし、変じゃないかな。気合い入りすぎてないかな。服、似合ってるかな。
先週、まなと一緒に選んだ白のブラウスと紺のスカート。ブラウスは鎖骨のあたりがレースになっている。
アイシャドウもリップもピンク系にして、髪はゆるく巻いて。カフェでバイトしているからいつもはできないけど、今日は特別にネイルもしてみた。
──古賀さん、可愛いって思ってくれるかな。思ってくれるといいな……。
「……えーと、紗友里ちゃん」
走り始めて10分くらい、古賀さんがぎこちなくわたしの名前を呼んだ。
「はい」
「メッセージでは何回も呼んでるけど、口に出すとまだ慣れないなぁ」
古賀さんがははは、と苦笑いする。
「でも慣れないとね。コンビニ寄ってもいいかな?飲み物でも買おう」
「はい。あ、お菓子も買っていいですか?」
「いいよ、好きなのどれでも」
わぁ、ありがとうございます、と笑うと、古賀さんはなぜだか困ったような顔をした。
「……紗友里ちゃんって、本当に可愛いな」
「え?」
「いや、いつも思ってるんだけど……その、可愛いよなぁって、改めて」
「あ、ありがとうございます……」
「ごめん、俺、すごく話の腰折ってるな」
変なこと言ってごめん、あそこにコンビニあるから寄ろう、と古賀さんが早口で照れたように言う。
──古賀さん、少し顔が赤い?
大人でいつも余裕がある古賀さんの意外な一面を見た気がして、わたしは少しだけ嬉しくなってしまった。
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