#6 助手席の熱

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──わたし、変じゃないかな。気合い入りすぎてないかな。服、似合ってるかな。 先週、まなと一緒に選んだ白のブラウスと紺のスカート。ブラウスは鎖骨のあたりがレースになっている。 アイシャドウもリップもピンク系にして、髪はゆるく巻いて。カフェでバイトしているからいつもはできないけど、今日は特別にネイルもしてみた。 ──古賀さん、可愛いって思ってくれるかな。思ってくれるといいな……。 「……えーと、紗友里ちゃん」 走り始めて10分くらい、古賀さんがぎこちなくわたしの名前を呼んだ。 「はい」 「メッセージでは何回も呼んでるけど、口に出すとまだ慣れないなぁ」 古賀さんがははは、と苦笑いする。 「でも慣れないとね。コンビニ寄ってもいいかな?飲み物でも買おう」 「はい。あ、お菓子も買っていいですか?」 「いいよ、好きなのどれでも」 わぁ、ありがとうございます、と笑うと、古賀さんはなぜだか困ったような顔をした。 「……紗友里ちゃんって、本当に可愛いな」 「え?」 「いや、いつも思ってるんだけど……その、可愛いよなぁって、改めて」 「あ、ありがとうございます……」 「ごめん、俺、すごく話の腰折ってるな」 変なこと言ってごめん、あそこにコンビニあるから寄ろう、と古賀さんが早口で照れたように言う。 ──古賀さん、少し顔が赤い? 大人でいつも余裕がある古賀さんの意外な一面を見た気がして、わたしは少しだけ嬉しくなってしまった。
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