#6 助手席の熱

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──side 侑一 可愛いなんて言葉じゃ足りないくらい、めちゃくちゃ可愛いな。 俺は、助手席に座る紗友里ちゃんをちらちら見てはそんなことを考えていた。 ポッキー片手に嬉しそうに海を眺める紗友里ちゃんは、時折俺の方を向いては「食べますか?」と訊いてくる。 ──ほんともう、可愛すぎて直視できない。いや、そもそも運転中だから、直視なんかしたらまずいんだけど。 今日の紗友里ちゃんは、いつも以上に可愛い気がする。メイクだろうか、服だろうか。何が違うのかは分からないけど、前に会ったときとは雰囲気が違う。 年上なんだからと見せかけの余裕をかましてるけど、本当はものすごく浮かれているしドキドキしている。……どうか、紗友里ちゃんに悟られませんように。 「海、キラキラしてきれいですね」 助手席側の窓を全開にしているから、紗友里ちゃんの綺麗な髪がさらさらと海風に(なび)いている。 「うん。晴れてよかったよね」 「はい!古賀さん、本当にありがとうございます」 そう言って紗友里ちゃんは、俺にとびきり可愛く笑ってくれた。 可愛らしい笑顔につやつやした唇がなんだかアンバランスで、色っぽいな、なんて思ってしまう。 ──俺はバカか、運転に集中しろって。 俺は自分でできる最大限のクールさを装って、「どういたしまして」と返した。微笑んだつもりが、変な顔になっていないといいんだけど。
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