居酒屋まるの包丁騒動記

40/65
前へ
/73ページ
次へ
俺があんまり慌てるので、道真公はあっはっはと愉快そうに笑った。 「なるほど、本当に無礼な外つ国の妖怪だ。宇迦之御魂神様が、きっと腹の立つようなことを平気で言うだろうけれど、店主が一緒だと借りてきた猫のようになるから、聞き流してぜんぜんかまわないと言っていた。」 さすがウカさん、ミハイさんとよくいがみ合っているだけのことはある。 てか、ミハイさんが道真公を怒らせないよう、事前に教えておいてくれるあたり、親切だ。 「借りてきた猫だと?おのれ、どこの馬の骨とも分からん野良狐の分際で、高貴なる私を貶めるとは、無礼にもほどがある!」 無礼はおまえだ、ウカさんの出自はしっかり分かっているはずだろうが! お父さんはスサくんこと素戔鳴尊だし、お母さんのお父さん、つまりウカさんにとっての母方のお祖父さんは大山祇神様、どちらの血筋も非常に由緒正しいのだと聞いたことがある。 「猫と表現するならば!いっそのことドラゴンと!」 借りてきたドラゴン。 なんだそれは。 そんなものレンタルしているところはないから。 対抗して言い直している内容が、非常に珍妙。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5085人が本棚に入れています
本棚に追加